もしものことがあった時、家族が最初に困るのは「何をどこから始めるか」「本人の希望はどうか」です。こんな悩みはありませんか?
- 葬儀の希望や延命治療を望むかどうか、連絡先を分かりやすく残したい
- 遺言書との違いがあいまいで、相続や保険の扱いが不安
- 無料テンプレや更新のコツ、保管の注意点を知りたい
本記事は、エンディングノートをつけるのが初めてでも迷わないように必要な項目を整理し、書き方と管理のコツを実例つきで解説します。家族の負担を減らし、あなたの想いと情報を確実に届ける実践ガイドです。
家族に残す「エンディングノート」とは?
エンディングノートは、人生の最終段階や死後に向けて、自分の希望や大事な情報を家族へ伝えるためのノートです。法的効力は基本的にありませんが、葬儀や医療・介護の希望、相続や保険の整理、銀行口座や資産の一覧、連絡先、SNSやデジタルデバイスの管理、ペットのことまで残せます。
特に、家族の心理的負担と事務作業を大きく減らせるのが強みです。エンディングノートは、紙でもデジタルでも問題ありません。昨今ではインターネットなどで無料テンプレートが配布されていることも多く、今日からでも始められます。
エンディングノートの基本構成と必須項目
エンディングノートの項目は家庭や資産で変わりますが、次の7つに分けると整理しやすいです。

本人情報と連絡先
まずは基本情報として、次の項目を埋めていきましょう。
- 氏名、生年月日、住所、家族構成
- 緊急連絡先(家族・親族・友人・勤務先)
- 主治医、かかりつけ病院、持病・アレルギー、服薬中の薬
- マイナンバーの保管場所(番号そのものは控えない)
はじめに必要な情報を揃えておけば、医療・行政・金融の手続きがスムーズに進みます。
延命治療の意思・介護の希望
医療や介護に関する自身の希望も明記しておくと、もしものときの家族の安心感につながります。
- 延命治療や輸血、人工呼吸器、胃ろうに対する考え
- 代理決定者(意思を代弁してほしい人)
- 介護の希望方針(自宅か施設か、費用の範囲、希望の事業者)
- ACP(アドバンスド・ケア・プランニング、人生会議)を行った日と内容の要点
医療・介護に関する希望は、そのときになってからでは家族に正しく伝えられないこともあります。家族が迷わないよう、具体的な言葉で残しておきましょう。
葬儀・納骨・宗教の希望
自身がどんな葬儀を希望するかも重要なポイントです。遺族は可能な限り、故人の意思を実現するために努めるべきですが、具体的な希望が無ければ悩んでしまうポイントにもなりかねません。
- 形式(家族葬・一般葬・直葬)、宗派、喪主の希望
- 予算の目安、葬儀社候補、遺影の写真の場所
- 納骨先(菩提寺・霊園・散骨など)
葬儀や宗教に関しては家族の判断が重くなりやすい領域です。最優先で書く価値があるといえるでしょう。



財産・資産・負債の一覧
財産や資産などお金に関することは、家族が争う原因にもなりえます。正しく明記することで、遺族が手続きなどがスムーズに行えます。
- 預貯金(銀行・支店・口座種別・通帳の場所)
- 証券口座、投資信託、外貨、金地金、暗号資産、NISA
- 不動産(所在地・権利関係)、貸金庫の有無
- 契約しているクレジットカード、ローン、サブスクの一覧と解約方法
- 電気・ガス・水道・通信の契約先、IDやお客さま番号
財産や資産、負債などは、相続等の手続きの土台です。金額より「存在と場所」を明確にしましょう。
保険・年金の情報
財産や資産と同様、保険や年金なども重要な情報です。公的機関での手続きが必要となる場合もあるため、間違いのないように正しく整理しておきましょう。
- 保険会社名、証券番号、保管場所、受取人
- 請求期限や連絡先
- 年金(基礎・厚生・企業年金)の加入状況
保険に関しては、受取人と連絡方法も添えておきましょう。
故人の所有物(デジタルデバイス・SNS・ペット)
今の時代では、スマホやPCなどのデジタルデバイスに個人情報が詰まっています。取り扱いには十分注意が必要であり、解約やアカウントの整理にも配慮すべきでしょう。
また、ペットも飼い主が亡くなった後では、居場所を失ってしまいます。法的には「モノ」として扱われてしまうため、ひとつの命として扱うためにも、ペットの処遇にも気を配るといいでしょう。
- スマホ・PC・クラウドのID管理方法の保管場所
- SNSやサブスクの扱い(削除・保存・解約)
- 暗号資産・ネット証券の有無
- ペットの飼育方針、緊急預け先、費用の出どころ
家族が困らないエンディングノートの書き方のポイント
①一文は短め、主語は一人称で統一する
「私はこう望む」「自分はこう考える」と明確に。あいまいな表現は家族を迷わせます。
②情報は「場所」と「最終確認日」を必ず書く
通帳の金額は変わります。場所と最終確認日があれば、家族はすぐ動けます。
- 通帳の保管場所と最終確認日
- 保険証券の保管場所
- パスワード管理方法の保管場所
③意思は「条件つき」で残す
例「回復の見込みが低いなら延命は望まない」「痛みの緩和を優先」。条件は家族の判断基準になります。
④本音と感謝はページを分ける
実務ページとメッセージページを分けると、手続き中も迷いません。実務は箇条書き中心で、想いは自由に。
項目別の具体例と記入のコツ
葬儀希望の具体例
- 形式と規模:家族葬、30人以内
- 喪主:長女のA
- BGMと花:学生時代の合唱曲、白基調
- 予算:最大80万円まで、互助会積立あり
- 納骨:〇〇霊園の合祀墓、費用は預金口座Xから
写真は「フォルダ名/印刷推奨サイズ」まで書くと実務が進みます。
財産・資産の整理と一覧化

医療・介護の意思決定(ACPの活用)
厚生労働省が推進するACP(人生会議)を家族と実施し、以下を記録しましょう。話した日と参加者を書くと、意思の重みが伝わります。
- 代理決定者
- 延命治療の考え
- 苦痛緩和の優先度
- 自宅療養の希望
参照元:厚生労働省「『人生会議』してみませんか」
連絡先・デジタル・SNSの管理
- 連絡先は優先順に並べる
- SNSやサブスクは「解約・削除・保存」の方針を明記
- パスワードは直接書かず、保管場所と開封条件を記載
相続における遺言書とエンディングノートの違い
遺言書とエンディングノートの違いを理解しておくことで、より効果的なエンディングノートを作成できます。「法的な相続方法=遺言書」「補足情報と想い=エンディングノート」と分けておくと混乱を防げます。
法的効力の違い
- 遺言書:民法の方式を満たせば有効(公正証書、法務局保管制度など)
- エンディングノート:原則法的効力なし。家族の参考資料として活用
併用のポイント
- 遺言書は「法的な相続方法」、エンディングノートは「理由・想い・手続き情報」
- 受取人指定のある保険や金融商品の補足はエンディングノートに記載
- 執行者や専門家(司法書士・税理士など)の連絡先を明記
法的な限界と注意点
- エンディングノートでは相続割合を拘束できない
- 医療行為の最終判断は医師・家族・法令に従う
- IDやパスワードをむやみに直書きしない(漏えいリスク)
エンディングノートの無料テンプレート・形式の選び方
紙・PDF・アプリの違い
- 紙:扱いが直感的で家族に渡しやすい。水濡れ・火災のリスクに注意
- PDF:配布が多く印刷しやすい。端末管理とバックアップが必要
- アプリ・クラウド:更新・共有が簡単。ID管理と引き継ぎ方法を決めておく
大切なのは、自分と家族が使いやすいかです。書式にこだわりすぎないで選びましょう。
必要なページだけ採用する
- 医療・葬儀・連絡先
- 財産の「存在と場所」
- メッセージページ
エンディングノートの管理・更新・共有方法
管理と保管場所
- 紙:防水ケース+耐火金庫。表紙に開封条件を明記
- デジタル:クラウド+SSDなどの記録媒体でのバックアップ。共有は家族限定に
通帳や印鑑と同じレベルで管理し、保管場所は家族に伝えておくことが重要です。
更新の頻度と記録
- 年1回の見直し日を固定(誕生日など)
- 末尾に更新履歴(更新日/更新者)を追記
- 金額ではなく「存在と場所」と「最終確認日」を更新
共有のタイミングと範囲
- 範囲:配偶者、成人した子、代理決定者
- タイミング:入院・転居・退職・保険変更・相続関連の出来事があった時
5つのステップで作る「はじめてのエンディングノート」

無料テンプレートまたはノートを用意、通帳・保険証券・契約一覧を手元に集める
医療・介護の意思、葬儀・納骨の希望・連絡先(優先順)
銀行・証券・保険・年金・不動産・負債・クレジットカード・サブスクを整理し、「場所・連絡先・最終確認日」を軸に記載します。
ACPや家族会議で意向を共有し、条件つき表現で誤解を防ぎます。
保管場所を合意し、更新日を決め、代理人や専門家の連絡先を追記します。
よくある質問(FAQ)
Q.無料のテンプレートでも十分ですか?
A.十分です。大切なのは具体性と更新です。不要な項目は削って問題ありません。
Q.遺言書がなくても相続は大丈夫?
A.法定相続で進みますが、手続きや分配に時間がかかりやすいです。遺言書の検討と、ノートでの情報整理を併用すると安心です。
Q.パスワードはどう書く?
A.原則は直書きしません。管理ツールなどの保管場所と開封条件を書きます。
Q.保険の受取人が昔のまま…
A.すぐに確認・変更を。受取人・証券番号・問い合わせ先をノートに書き添えましょう。
まとめ
エンディングノートは、想いと実務情報を一冊にまとめ、家族の負担を確実に軽くします。まずは医療・介護の意思、葬儀・納骨の希望、優先連絡先の三つから着手し、財産は「存在と場所」と最終確認日を中心に整理しましょう。相続の分け方など法的な内容は遺言書、運用や気持ちはノートと役割を分けるのが安全です。更新は年1回を合言葉にし、保管場所と共有範囲を家族で合意します。完璧より、今の意思を言葉にして残す一歩を今日から始めてみましょう。
参考情報
厚生労働省「『人生会議』してみませんか」
法務省「遺言制度」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00024.html


